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自然史系文化財保存

6月18日に発生した地震による自然史系文化財関係の被災等に関する情報があればご相談ください

6月18日夜、山形県沖を震源とする強い地震が発生し、新潟では震度6強、山形では震度6弱を記録しています。被害に遭われた地域の皆様にはお見舞いを申し上げます。
 当該地域周辺で被災、または被災した建物に保存されているなど二次的な被害を受ける可能性がある資料などについて、関係者の皆様の注意と保全努力をお願いします。強い地震によって、建物や施設に損害が出ている可能性があります。すでに各地は梅雨入りをしており、今後雨が降ると、雨水が建物内部に浸入する心配があります。建物内部にある自然史標本はは地震による被害が無くても、漏水等によって濡らしてしまうとカビや虫害なども含め大きなダメージを負います。もしも建物に被害があり、内部の自然史標本などにこのような危険があると判断した場合は、迷わず建物内部での移動、あるいは関係する博物館・美術館・図書館・文書館等の施設に移送保管する必要があります。
 情報提供、ご相談等があれば西日本自然史系博物館ネットワークまでお声がけください。担当の佐久間 sakuma@mus-nh.city.osaka.jpが承ります。
頂いた情報は必要に応じ、またご相談内容により独立行政法人国立文化財機構文化財防災ネットワーク推進室などと共有・整理し、関係団体、当該文化遺産が所在する地方公共団体の関係部門等、および文化庁と共有します。

全国の自然史系博物館・大学による 「令和 2 年 7 月豪雨」植物標本レスキュー支援活動について

 西日本自然史系博物館ネットワークは、国立科学博物館および全国の自然史関係機関とともに、令和 2 年 7 月豪雨により被災した人吉城歴史館所蔵「前原勘次郎植物標本」のレスキューにおいて、人吉市、熊本県及び熊本県博物館ネットワークセンターの支援を開始しました。

 令和 2 年 7 月豪雨に伴う球磨川氾濫により,人吉城歴史館(人吉市)は浸水被害を受けました。同館は前原勘次郎氏の採集した植物標本を所蔵していますが,この標本も被災しました。
 前原勘次郎氏(1890-1975)は、南九州の植物研究史上重要な文献である『南肥植物誌』の著者として知られています。同氏のコレクションはこの文献の貴重な証拠標本であり、新種記載に用いられた可能性のある標本など、植物学的にも重要な標本が多数含まれています。このコレクションの大半がこのたびの豪雨で水に浸かり、早急に乾燥・クリーニングを行わなければ腐敗やカビの発生で標本の価値が損なわれるおそれがあります。
 人吉市の依頼により、熊本県及び熊本県博物館ネットワークセンターは、この標本の搬出を決断、水損した標本の数が約 3 万点という膨大な量であることから、迅速な保存処理を行うために、「植物系学芸員メーリングリスト」などを通じ全国の自然史関係機関に協力を依頼しました。
 この状況を受け、西日本自然史系博物館ネットワークは、積極的な関与をすすめ、現地へ搬送用のダンボール160箱を支援するとともに、東日本大震災時の被災標本修復を担った岩手県立博物館や、国立科学博物館等と連携して全国での分散対処を行い,各機関が協働して水損した標本の修復に取り掛かることとしました。
 新型コロナウイルス感染症予防のため、現地での支援に入るのが困難な状況ですが、全国の関係機関が連携協力し、分散対処という形でこの貴重な自然史資料のレスキューに取り組みます。
修復後は、標本は再び全国から地元へと返還され、地域の重要な自然史資料として保存される予定です。文化財防災ネットワークとも連携し、被災地の文化的な保全と復興に貢献していきたいと考えています。

ダンボールで送付された資料(大阪市立自然史博物館に到着したもの)各博物館の処理可能数が送付されている。
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水害で濡れた標本。カビやバクテリアが繁殖しているものもあるので急速な乾燥が必要。
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お問い合わせ
西日本自然史系博物館ネットワーク 事務局(担当 佐久間)
大阪市立自然史博物館内 naturemuseumnet@gmail.com


このプレスリリースの内容は同日に国立科学博物館より発出されています。
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/430769.pdf


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ワークショップ「水損文献資料レスキュー実技講習会」が開催されました

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 さる2020年11月22日に西日本自然史系博物館ネットワーク主催による
ワークショップ「水損文献資料レスキュー実技講習会」が開催されました。
この催しは日比自然史基金による助成事業として開催されたものです。

 水害などによって、水損した紙資料の初期対応は文化財レスキューの基礎的な技能の一つです。
植物標本を始めとする自然史標本に応用できる部分も多いでしょう。今回の研修では水害などで被害が発生することの最も多い、文献資料のレスキューについて実際の作業イメージと留意点をコンパクトに纏めてお伝えしました。
今回、講師及び企画者のご厚意で実習資料を公開させていただきます。
遠くから来る専門家を待つだけでなく、周囲にいる関係者の適切な初期対応が重要になるケースもしばしばあります。そうしたときの参考として、ご活用いただければと考えます。


企画・進行・資料準備:北村美香・西澤真樹子(大阪市立自然史博物館)
講師:松下正和(神戸大学地域連携推進室特命准教授/歴史資料ネットワーク副代表)
   前川さおり(遠野市立図書館博物館)

紙資料の応急処置 スクウェルチ・パッキング法西澤真樹子氏作成
災害時の資料救出と応急処置について 松下正和氏作成
東日本大震災の資料レスキュー~岩手県遠野市の事例 前川さおり氏作成
平成 28 年東日本豪雨の資料レスキュー~岩手県遠野市の事例 前川さおり氏作成

参考リンク 四つ目綴じの綴じ方  (国立国会図書館 資料保存課)
https://www.ndl.go.jp/jp/preservation/pdf/training_text_3_yotsume-toji2019.pdf

ワークショップ時のQA 松下氏関係分(PDF)

ワークショップ時のQA 前川氏関係分(PDF)

なお、このワークショップのあと開催されたシンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」は12月6日まで以下のアドレスで公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=_QTUXyrvg3o